獣医学部受験の理科選択について:生物不利って本当?

獣医学部受験の理科選択生物不利有利

獣医学部への進学・受験を考える際の「理科選択=生物、物理、化学はどれが有利、不利か」という件について今回は記事にしていきます。

獣医学部を目指す学生にとって、選択の受験科目についてはどれを選べばいいのか?というのは大きな問題です。

特に獣医学部の場合、「難関」「高倍率」「浪人率が高い」といった具合に、非常に受験の難易度が高く、少しでも自分にとって有利になるような受験科目を選択したいと考えるのは当然のことでしょう。

・獣医学部の理科は「生物が不利」と聞いたけれど本当?

・獣医学部の受験科目は何があるの?

・獣医学部は「物理が有利」と言われたけど、苦手なのでどうしようか迷っている。

・獣医学部入学後のことを考えたら、生物で受験した方がいいの?

・もしも獣医学部受験を断念した際、保険(つぶし)が効く理科選択はどれ?

こういった悩みや不安について整理、解説してきます。





獣医学部・獣医学科は理系学部=理科が必須


まず、大前提ですが、獣医師を目指す、6年制の獣医師養成課程としての獣医学部・獣医学科はいわゆる「理系」の学部となります。

そのため医学部や薬学部、工学部や理学部といったほかの「理系」学部と同様、受験に必要な科目としては、「数学」「理科」「英語」当たりが必須になってきますね。

まー、理系といっても医療系や生命科学分野よりになりますので、工学部の機械系や理学部の物理系学科のような「ゴリゴリの理系」ではないのですが。

とはいえ高校では、理系コースに進んで、理科を1科目以上(できれば2科目以上)、数学も可能なら数IIIまで履修して、受験に使えるレベルにしておいたほうがいい、というのが現状です。

そうでなければ、大学によっては、そもそも受験に必要な科目を履修できていない、学習できていないという事態に陥るので要注意です。

間違っても高校で文系コースに進んでしまわないように(3年超の浪人生活を覚悟するなら別ですが)。

獣医学部・獣医学科:各大学の受験科目概要


記事執筆時点で、日本国内では17校の大学が「獣医師養成課程」としての獣医学部・獣医学科を設置していますが、それぞれの大学一覧と必要な受験科目(一般入試)をざっくり書くと、下記のような感じです。

もちろん今後、各大学の受験科目も変わっていくことがあるかとは思います。

【国公立大学】
北海道大学獣医学部:英語、数学(III含む)、理科2科目

帯広畜産大学畜産学部共同獣医学課程:(総合問題として)数I, II, A, B, 物理、化学、生物、英語

岩手大学農学部共同獣医学科:数学(IAIIB)、理科1科目

東京大学農学部獣医学課程:数学(IAIIB)、理科2科目、国語、英語

東京農工大学農学部共同獣医学科:英語、数学(III含む)、理科2科目

岐阜大学応用生物科学部共同獣医学科:英語、理科1科目

鳥取大学農学部共同獣医学科:英語、理科1科目

山口大学共同獣医学部獣医学科:数学(IAIIB)、理科1科目

宮崎大学農学部獣医学科:数学(IAIIB)、理科、英語から2科目選択

鹿児島大学共同獣医学部獣医学科:数学(IAIIB)、理科1科目

大阪府立大学生命環境科学域獣医学類(2022年より大阪公立大学獣医学部となる予定):英語、数学(III含む)、理科2科目

【私立大学】
酪農学園大学獣医学群獣医学類:数学(IAIIB)、理科1科目、英語

麻布大学獣医学部獣医学科:数学(IAIIB)、理科1科目(物理選択不可)、英語

北里大学獣医学部獣医学科:数学(IAIIB)、理科1科目、英語

日本大学生物資源科学部獣医学科:数学(IAIIB)、理科1科目、英語

日本獣医生命科学大学獣医学部 獣医学科:数学(IAIIB)、理科1科目、英語

岡山理科大学獣医学部獣医学科:数学(IAIIB)、理科1科目、英語

私立大学の獣医学部の場合は、理科は1科目選択となっています。

国公立大学では「北海道大学 獣医学部」「東京大学 農学部 獣医学課程」「東京農工大学 農学部 共同獣医学科」で理科が2科目必要で、「宮崎大学 農学部 獣医学科」では、理科2科目でも受験も可能ですね。

その他は、理科は1科目選択となります。

なので、

・英語と数学(数II、数B)、および理科1科目は最低限必須

・大学によっては数IIIと理科2科目が必要

といった状況でして、これは今後も変わらないかと。


獣医学部・獣医学科:大学入学共通テスト(センター試験)での理科は2科目必須


あと、国公立大学については大学入学共通テスト(センター試験)を一次試験として受験する必要がありますが、国語・英語・数学・理科・社会でまんべんなく点を取る必要があります。

理科について言うと、下記のように、いずれの大学でも2科目受験が必須となっていますね。

北海道大学獣医学部:物理,化学,生物,地学から2科目

帯広畜産大学畜産学部共同獣医学課程:物理,化学,生物,地学から2科目

岩手大学農学部共同獣医学科:物理,化学,生物,地学から2科目

東京大学農学部獣医学課程:物理,化学,生物,地学から2科目

東京農工大学農学部共同獣医学科:物理,化学,生物から2科目

岐阜大学応用生物科学部共同獣医学科:物理,化学,生物,地学から2科目

鳥取大学農学部共同獣医学科:物理,化学,生物,地学から2科目

山口大学共同獣医学部獣医学科:物理,化学,生物,地学から2科目

宮崎大学農学部獣医学科:物理,化学,生物から2科目

鹿児島大学共同獣医学部獣医学科:物理,化学,生物から2科目

大阪府立大学生命環境科学域獣医学類(2022年より大阪公立大学獣医学部となる予定):物理,化学,生物,地学から2科目

獣医学部・獣医学科の受験:理科選択について


さて、それでは獣医学部・獣医学科の受験をするには理科選択はどうすればいいのか?といった点について。

上で挙げた各大学の受験科目を眺めてみると、

・大学入学共通テスト(センター試験)では理科2科目

・個別学力試験として理科1科目ないし2科目必要

といったところが見えてきます。

ここで「理科は1科目でいいのか、2科目必要なのか。」と「理科は何を選択(専攻)するべきか」という二つの問題がでてきますよね。

獣医学部・獣医学科の受験勉強は「理科2科目」が理想


まー、理想的なことを言うと、理科は2科目(できれば数学も数IIIまで)を「受験に使えるレベル」に仕上げて起きたというのが結論です。

もちろん、私立大学に絞って受験をするのであれば「理科1科目のみ」で、獣医学部受験を乗り切ることも可能です。

とはいえ、別記事でも書いていますが、6年制の獣医学部の場合、設置している大学はたった17校しかありませんし、総定員は約1000人とかなり狭き門となっています。

理科を2科目を武器として持っておけば、受験できる大学数が単純に増えるためチャンスが広がるとうメリットもあります。

仮に受験に使えるレベルの理科が1科目だと、国公立大学の獣医学部・獣医学科は絶望的になります(センター試験・大学入学共通テストで2科目必要なため)。

センター試験レベルなら理科2科目行けるけど、個別試験では理科1科目、という場合でも、「北海道大学 獣医学部」「東京大学 農学部 獣医学課程」および「東京農工大学 農学部 共同獣医学科」を選択肢から外すことになりますからね。


 獣医学部・獣医学科の理科受験科目は「化学」プラス「生物」または「物理」


大学受験で登場する理科は4種類あります。

化学、生物、物理、そして地学です。

獣医学部を目指して「理科を2科目を受験に使用する」という場合、基本的には「化学と生物」または「化学と物理」というのが一般的です。

まず、地学なんですが、これは内容的に獣医学にあまり関係ありません。
そのため、大学によっては、「化学、生物または物理から2科目(1科目)」という制限を設けている場合もあります。

なので、獣医学部を目指すなら「地学」は無しかと。

残りの化学、生物、物理ですが、この3科目はいずれも獣医学部の受験で利用できるので、得意な科目を選べばよいかと思います。

その結果、大半の受験生は「化学と生物」または「化学と物理」を選びます。

「生物と物理」というパターンの受験生はあまり見たことがありませんね。

理由としては、科目の特性が違うというのがあります。

生物はどちらかと言えば暗記が多く、ちょっと文系的な頭脳向けでして、一方、物理はゴリゴリの理系脳に向いているものです。

化学はその中間で、暗記もあるし、計算もあるといった具合。

なので、文系的な頭脳を持った人は「化学と生物」を得意としますし、理系的な頭脳を持った人は「化学と物理」を選択した方が点数は稼ぎやすいでしょう。

受験科目が1科目でよい私立大学の獣医学部や、国公立大の個別学力試験では特異な理科1科目で受験することになります。

獣医学部・獣医学科受験で生物は不利?有利?


獣医学部・獣医学科の理科選択について調べると、

・生物受験は不利、難題が多い

・物理受験の方が有利

といった情報を目にすることがあります。

まーこの情報の真偽は、半分ウソ、半分本当といったところでしょう。

というのも、大学受験の個別学力試験は、その大学の教員が作成するのが一般的です。

獣医学部の教員は、たいていが獣医学部や、生命科学系の学部を卒業していますので、どうしても専門性が科目としては「生物」に近い場合が多いのです。

そのため、年度や大学によっては、生物で出題される問題が難問・奇問であることもあるというわけですね。

反対に、物理の問題については、基礎的で素直な問題が多く、得意な人なら比較的問題をとりやすい(ことがある)ということですね。

まー、ただ、獣医学部・獣医学科の受験では生物受験者が多く、物理受験者はよほど得意科目で自信があるという背景もありますので、一概に「生物は不利・物理が有利」ということでもないのかと。

結局は、素直に、自分が得意な科目で勝負するのがベストですね。


獣医学部入学後のことを考えたら、生物が有利なのか?


時々、「獣医学部に入学した後は、生物系の勉強が多いから高校でも生物を専攻した方がいい」という人がいます。

これについては、ぶっちゃけ気にしなくてOKです。

確かに獣医学部では、最終的には生物的な勉強が増えてきますが、かといって、高校で物理を選択した学生が勉強についていけないかというとそうではありません。

獣医学部では入学後、1年次~2年次くらいまで生物の基礎的な内容がカリキュラムに入っているので、高校生物程度の知識は大学に入ってからで十分間に合うからです。

そもそも、高校生物で学ぶ内容なんて大したことないですしね。

入学後に勉強についていけるか?なんて気にする前に、まず大学受験に合格しなければなりませんので、純粋に点数を取りやすい科目を学んだ方が良いのです。

もしも獣医学部受験を断念した際、生物選択は不利?


別記事でも書いていますが、獣医学部・獣医学科は難易度・偏差値がかなり高く、必ずしも合格できるとは限りません。


数年の浪人生活を経てようやく合格する人もいれば、結局断念する人も多いのが現実です。

その場合、獣医学部以外の学部に進学することになりますが、この時に理科が「生物」選択だと不利になるのかどうか、という点ですね。

獣医学部以外の「理系」学部を考えた場合、理論的には、「理科の中で生物が一番得意」という学生は不利になります。

というのも、機械工学や理学部物理学科などの、「ゴリゴリの理系学部」では生物で受験できない場合があるからです。

とはいえ、これは理論的な話でして。

おそらく、獣医学部を断念して進む進路としては、生命科学系の理系学部(農学部や理学部生物学科等)や、薬学部・歯学部などの医療系学部かと思います。

こういった学部は生物でも受験できますので、仮に「理科の中で生物が一番得意」という学生が獣医学部を断念して、別の理系学部を目指しても問題になることはないでしょう。

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獣医学部受験の理科選択について:生物不利って本当?【まとめ】


以上、「獣医学部受験の理科選択」というトピックについて書いてきました。

まとめますと、

・獣医学部受験は理科1科目でも可能だが、国公立大学獣医学部は理科2科目必要

・ただでさえ狭き門の獣医学部でチャンスを広げるためにも理想は理科2科目!!

・理科4科目の中では、「地学」以外の3科目を履修するべき

・「化学と生物」または「化学と物理」で得意な方を選ぼう

・「獣医学部受験で生物は不利」という噂があるが、半分ウソで半分本当。得意な科目で勝負するのがベスト

といった感じになります。

それじゃあ今回はこれ位にしておきます。

では。

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