今回はこの「みなし残業」の制度の下で働いている人が、残業しない場合の対応について、書いていきます。
「みなし残業」は、多くの人にはあまり馴染みのない制度かもしれませんが、いわゆるホワイトカラーと呼ばれる、オフィスワーカー向けによく採用されている人事システムです。
まー詳細な説明は本記事では省きますが、ざっくりいうと、「毎月の給料の固定額部分にあらかじめ数時間〜数十時間の残業代がふくまれて算出されている」というものですね。
例えば、あらかじめ残業代を10時間分、固定額として給与に入れていたら、毎月10時間残業してもその分の上乗せはありません。
私の知人が勤務する会社もこういった「みなし残業」の仕組みだそうです。
ぱっと見、毎月の固定の給与額が多いので高給の会社と思いきや、月に20時間分の残業代がはじめから盛り込まれているとのこと。
んで、こういた「みなし残業」について、誤解や、あるいは悪意のある経営者がいるようで、
・みなし残業は盛り込まれている残業分、必ず働かないといけないのか?
・みなし残業で残業しない場合に怒られた、給料泥棒と批判された
・みなし残業で盛り込まれた残業時間に満たない部分の給料を天引きされた
・みなし残業で盛り込まれた残業時間の超過分が支払われないと言われた
といった悩みの声を耳にします。
結論をいうとですね、「みなし残業」の勤務形態で、残業しない場合になにかペナルティがあるようなことはありません。
仮に20時間分の残業が発生すると「みなし」て固定給部分が高額に設定されていても、必ず20時間の残業をしないといけないということはありません。
給料泥棒と批判される筋合いもない。
また、あらかじめ盛り込まれた残業時間に満たない部分の給料を天引きすれば違法となりますし、逆に、もしも、「みなし」の時間を超過して、超過分は支払わないのであれば法律違反です。
経営者や人事分門が、そのような対応や、説明をしている企業はもう確実にブラック企業確定、真っ黒黒ですので要注意ということになります。
以下で、詳しく整理していきましょう。
みなし残業制度=ホワイト企業とも限らない
みなし残業制度を採り入れる企業も、最近では、ぼちぼちあるようです。
比較的先進的であたらしい、IT関連企業とか、人事制度を含めた会社としての成熟度が高い企業でとりいれられている印象です。
基本的には、みなし残業制度と相性の良いのは、エンジニアや研究者といった「実労働時間の把握が難しい」あるいは「成果が労働時間で測りにくい」、成果主義が浸透しやすい職種になります。
そのため、旧態依然とした古臭い人事制度や年功序列をいまだに維持しているような保守的で、体育会系の企業では「みなし残業制度」なんか採用していないでしょう。
そのため、漠然と「みなし残業制度=ホワイト企業」といったイメージがありますね。
ところが、実際は、みなし残業制度=ホワイト企業とは限りません。
むしろ、みなし残業制度を不適切に運用されることで、現場は圧倒的にブラック化、経営者の利益追求の犠牲になっているなんてことも多々あるので注意が必要です。
みなし残業代をもらった分の残業が義務、強制残業なんて大嘘
よくある、相談、悩みでトラブルになりやすいケースが、「みなし残業で残業しない場合」の対応についてです。
例えば、ある企業で大卒の新入社員が「固定月給(基本給)30万円(みなし残業25時間含む)」という条件にて勤務したとします。
毎月30万円の給料だから、高給だ!と感じるかもしれませんが、何度も書いているように「みなし残業」なので25時間分の残業代込みで30万円なのです。
おそらく、こういった条件の業務は残業が多く、毎月25時間以上は普通に残業しないとこなせない業務量が与えられるケースが大半です。
しかし、まれに優秀な社員の場合、あるいは業務が少ない月には、残業時間が25時間をしたまわることがあったらどうでしょう。
定時で帰ろうとする社員に、
「25時間分の残業代を固定で支払っているのだから、最低でもその分残業しろ」
「みなし残業では25時間分の残業は強制ということです」
といった説明をする企業があるようですが、結論を言うとこんなのは大嘘です。
みなし残業代をもらった分の残業が義務、強制残業なんてことはありません。
こういった事を言ってくる企業は、完全なブラック企業ですね。
仕事をきっちりして成果をだしているのであれば、25時間未満の残業時間であっても、法的にはなんら後ろめたいこともありません。
みなし残業で残業しない場合、定時退社したら嫌われる職場はクソ
「みなし残業で残業しない場合、法的にはOKでも、やはり職場の同僚に白い目で見られる、陰口や嫌味をいわれる」
こういう風に考える人がいるかもしれません.。
そして実際にそういった職場がありますが、はっきり言って、そんな職場はクソです。
みなし残業制度を取り入れているにも関わらず、「残業するのが偉い」、「長時間働くのが偉い」、という、非効率的で古臭い価値観が残っている職場ですね。
そこにいる同僚、社員も皆、こうった考えが脳に刷り込まれていて離れないのでしょう。
こういった職場で働き続けることは、人生にとって大きなマイナスですね。
みなし残業で、残業が「みなし」分を超過したら、その分はもらえます
反対に、みなし残業で、例えば25時間分の残業が見込まれている場合に、25時間超残業することもあります。
この場合は、きちんと、超過分の残業代をもらえます。
「うちはみなし残業だから、追加の残業代でないよ」なんてことを、経営者が言っていたらブラック起業家、ちょっと頭の弱い経営者ですね。
みなし残業と、裁量労働制を勘違いしています。
裁量労働制は、管理職などでよくある仕組みで、残業という概念がなく、一日の労働時間が決めらえていない制度になり、この場合は何時間残業をしてもお給料は変わりません。
みなし残業は、単に、あらかじめ一定量の残業代を、固定給に盛り込んでいるだけなので、裁量労働制とは全く異なるものです。
そもそもみなし残業は生産性を上げるための制度
そもそも、みなし残業の制度は、労働時間で成果を図れない職種と相性のいいもの。
みなし残業を導入するのであれば、能力の高い社員が、素晴らしい生産性で仕事をする(短い労働時間で大きな成果を出す)ことを推奨するべきです。
みなし残業で残業しない場合でも、一定の成果を仕事で出しているのであれば、それは喜ばしいことでしょう。
無駄に長時間労働を強いたり、生産性の高い社員を白い目でみたりするなんで全くのナンセンスですよ。
みなし残業で、残業しない場合はどんどん早く帰ってね、単位時間当たりの報酬を挙げてに頑張ってね、と推奨すればいいでしょう。
そうすれば、社員は高い生産性で仕事をするようになりますよ。
そんなことにもわからない職場や会社に、まともな未来などあるはずがないんで。
みなし残業でも定時で帰る方が良いに決まっている
たとえ、一定時間の残業が発生するとあらかじめ見込んでいる「みなし残業」であっても、残業しない場合には本人や周囲は喜ぶべきです。
成果、アウトプットが同じであれば、みなし残業であっても定時で帰ることで、本人だけでなく、職場にとっても良いってことは少し考えればわかりますから。
・オフィスに残っている社員が少ない方が光熱費、消耗品費など、ビジネスのランニングコストが安くなる
・単純に労働時間が短いと、勤務時間中に発生する労災リスクは減る
・社員の労働時間が短いと体力的に余裕がでて翌日以降の、生産性が高まる
同僚が、みなし残業で残業しない場合に悪く言ったり、陰口を言っている社員はそれだけで、会社に損害を与えていると考えた方がいいですね。
みなし残業のメリット、デメリット
ところで、いったい何のために「みなし残業」の制度が存在するのでしょう。
みなし残業のメリット、デメリットについて少し触れておきます。
みなし残業の労働者にとってのメリット、デメリット
労働者にとってのみなし残業の最大のメリットは、すでに触れたように、短い時間で仕事を負えれば単位時間当たりの報酬が上がる、という点です。
また、固定給が一定の残業代を含んでいるため、毎月の収入が、ある程度の水準で安定する、というのもうれしいですね。
一方で、デメリットとしては、先述のように理解の無い同僚や、悪質な経営者がいる会社の場合、窮屈な思いをしたり、超過分の残業代が支払われない(残業代未払い)といった事例の温床となる可能性があることです。
また、残業代を含めた額が固定給として提示されるため、給料が高いと思いきや、冷静に計算すると、かなり安価な労働力として雇用されているなんてケースもありますね。
時々、最低賃金に満たない条件に気づかずに働いてしまうこともあるので、注意が必要です。
みなし残業の会社にとってのメリット、デメリット
会社にとってのみなし残業のメリットは、煩雑な残業代・給与の計算が不要となる点です。
また、社員が生産性を意識して、効率的に働いてくれるようになることもあります。
とはいえ、あまりに大量の残業代を「みなし」として支払うことにすると、人件費も増大していまいますので、現実的な残業代にとどめることが重要。
過剰に残業代を支払い続けるようだとデメリットが大きくなってくるでしょう。
個人的にはみなし残業制度の会社はおすすめしない
ここまで書いて、個人的な感想なんですが、みなし残業制度を採用している会社はおススメしません。
理由としては、以下のようなものです。
・本人、同僚、経営者ともに、みなし残業に対する理解が不十分、浸透していないため活用できていない
・みなし残業を採用している企業は、長時間労働の傾向がある
・みなし残業を「残業代未払い」の隠れ蓑にしている経営者がある
ぶっちゃけ、(すくなくとも現時点では)日本の文化には「みなし残業」の制度はあまり合わないように思います。
いまだに、長時間労働する人が偉いとか、自己犠牲・滅私奉公が美徳という価値観が、潜在意識に刷り込まれている人が多いし、それを他人にも強要する、質の悪い労働者が沢山いるんですよ。
裁量労働制や、フレックス制のほうがまだうまくなじんでいるケースが多いかと。
みなし残業で残業しない場合に怒られる→やばいブラック企業確定【要注意】:まとめ
以上、みなし残業について、特に「みなし残業で残業しない場合」の対応を中心に整理しておきました。
結論としては、みなし残業は、あらかじめ一定量の残業代を見込んで固定給を設定し、残業代の計算を省いているだけですので、
みなし残業で盛り込まれている残業分を、必ず毎月働かないといけない、なんてことはありません。
もし、みなし残業で残業しない場合に怒られた、給料泥棒と批判された、あるいは同僚に白い目でみられるなんてことがあれば、趣旨を誤解していますし、やないブラック企業のにおいがプンプンしている職場だと思った方がいいでしょう。
盛り込まれた残業時間に満たない部分の給料を天引きされたり、あるいは、盛り込まれた残業時間の超過分が支払われないなんてことがあれば、完全に法に触れていますので、速攻で労基に通報したほうがいいかもしれません。
経営者、同僚が正しく理解して、みなし残業のメリットを最大源活かせるような働き方ができる職場ならいいのですが、なかなかそういった職場は少ないように思います。
個人的には、みなし残業の制度がない会社のほうが、心身共に健康で働けるように思います。
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