凍死するときに眠くなるって聞いたことあります。
子供のころ、何かの映画で雪山で遭難して、仲間が投資するときに「寝るなー、寝たら死ぬぞ」って起こしているシーンをみた記憶があります。
子供ながらに、「寒くなって死ぬ時=凍死する時は眠くなるんだな、ふむふむ」と思いました。
「なるほどなあ、確かに寒い冬は眠かったり、朝起きれないなあ」と。
そして、まだ元気な仲間が、眠らないように呼び掛けているのを見て、「眠いのを我慢したら、死なないのか。ふむふむ」って変な納得をしていたものです。
あれからすっかり大人になった私ですが、あの頃の記憶と認識がなんかおかしいなあ?とふと気づきました。
冬に眠いのは、凍死の一歩手前って考えるとなんか変だし、怖いからです。
それに、凍死する時に、頑張って眠りとこらえたら、本当に生き延びれるの?って思いました。
そこで、本記事では「凍死する時に眠くなる」件について少し調べてみましたので整理しています。
凍死する時、人間はまず「低体温症」になる
人間はとても寒い環境に長時間置かれると死んでしまいます。
これが凍死です。
凍死する時は眠くなるといわれていますが、これって何が起きているのでしょうか。
まず、人間の体温は37℃前後で一定にたもたれていますよね。
じつは、この「37℃前後」が人間のあらゆる機能、生命維持に必要が活動にとって最適な環境なんです。
人間は、自分の体温をある程度調節することができる生き物であるため、多少暑かったり、寒かったりしても、体温は37度前後を維持することができます。
しかし、雪山や北国なの、極端に低温な環境で、長時間すごすと、この体温調節の機能が限界を超えてきます。
そして、だんだんと体力が低下して、この37℃前後を維持できなくなってくるのです。
その結果、体温がどんどんさがり「低体温」という状態になるのです。
体温が35℃を下回ると、医学的には「低体温」と言われます。
35℃から32℃を、軽度低体温。
32℃から28℃を中度低体温。
28℃以下になると、高度低体温とのこと。
この低体温症が原因で死に至ると、死因が凍死となります。
凍死する時眠くなるのは「昏睡」
映画で、だれかが凍死する時に、だんだん眠くなってくる場面があったりします。
仲間が「眠るなー、眠った死ぬぞ」って言います。
一般的に低体温の状態が重篤になり、体温が25℃を下回ると「昏睡」あるいは「仮死」の状態になります。
そのため、低体温で、眠るように意識を失い、凍死していく…、といった描写は現実に起こりうるということですね。
眠りを我慢したら凍死しないの?
では、凍死しそうな時に「眠るなー、眠ったら死ぬぞー」って言われて、眠りを我慢したら生き延びるのでしょうか?
基本的には、眠りを我慢したところで、生き延びることはできません。
結局凍死してしまうでしょう。
根本の「低体温」の状態は変わらないからです。
ただし、人間は意識を失うと、脳や体の活動が低下してしまうため、眠ってしまう(意識を失う)と、低体温の進行は若干早くなる可能性はあります。
眠らないように我慢すれば、若干、長く生き残ることはできるかもしれません。
凍死しそうな時の眠気は我慢できるのか?
あるいは、低体温・凍死による眠気(昏睡)を我慢することはできるのでしょうか?
眠い会議中や講義中に頑張っておきておく!みたいな。
うーん。
凍死しそうな時に、眠気を我慢するのはかなり難しいと思います。
通常の眠気は我慢できますけどね。
なぜなら、普通の眠気は、脳から「眠りたい」と指令がでて、体を休めようとする反応です。
脳に刺激を与えたり、頭で眠気を我慢しようとすれば何とかなることもあります。
一方で、凍死する時の眠気は、体温が低下したことによって、脳が活動を停止しようとする現象です。
凍死する時には、いくら頑張って、頭で起きようとしても、低体温の状態が続く限り、眠気に打ち勝つことはできないのです。
日本の凍死者数は熱中症による死者よりも多い!
日本では、どれくらいの人は凍死しているのでしょう。
最近の登山ブームもあり、雪山登山で遭難して、凍死しているひとがいないか心配ですよね!
調べてみると、だいたい年間1000人ほどが、日本で凍死しているのだそう。
そして、なんとこれは、熱中症による死者の1.5倍くらいだそうです!
知らなかった。。。
そして、そして、これらの多くは雪山で遭難して、「眠るなー、眠ったら死ぬぞー」って言われて死んでいった人たちではないとのこと!
多くは、「屋内で凍死する、高齢者」だそうです。
日常に潜む凍死、低体温症
凍死や、その手前の低体温症は意外と身近に潜んでいるということです。
日本の家屋は、断熱性が低く、特に高齢者が住んでいる和風家屋は、冬は冷えます。
また、お金の無い高齢者が、夏にクーラーをつけずに熱中症で救急搬送…なんてことがあるように、冬場に暖房をつけずに我慢した結果凍死する高齢者もりうのです。
凍死の場合、眠くなってきたのか、凍死しそうなのか判断がつきにくいのかもしれません。
寒い夜に、暖房をつけずに、高齢者が意識を失って翌朝凍死している…なんてことですね。
さらに、飲酒したりしていると、体温の消失が激しいため、リスクが上がります。
また、凍死でなくても、夏場にプールで長時間遊泳していたりすると、軽い低体温症になります。
熱中症はニュースになりますが、凍死・低体温症も日常に意外と潜んでいるのです。
寒い冬に眠いのは、凍死しかけている?
冬って眠かったり、朝布団から出れなかったりします。
これって、凍死の一歩手前?なんて考えている人がいるかもしれません。
確かに、うえで書いたような、自宅で凍死しかねない状況にある人はそうかもしれません。
でも、多くの場合、冬に眠くなるのはほかの原因が主であるようです。
例えば、
冬季うつ:季節性のうつ病の一つで、過眠や疲れやすいといった症状がでます。
自律神経の不調:季節の変わり目に、体温や眠りのリズムを調整する自律神経のバランスが崩れることがあります。
日照不足:人間は日光を浴びることで、睡眠と覚醒バランスをとっています。日中の日照時間が短くなる冬は、夜に睡眠をとっているつもりでも、眠りが浅くなったりリズムがくずれてしまいがち。夏と同じ睡眠時間では、眠気が取れないということになるのです。
凍死しかけている人・低体温症に対する治療
低体温の軽度の段階であれば、とりあえず体を温める、というのが基本です。
暖かい飲み物を飲む、毛布にくるむ、などです。
中程度の低体温になると、医療機関の治療が必要になります。
下手すると凍死する状況です。
医療機関では、温めた輸液を血管に投与するなどして、血液を加温する処置が可能です。
さらに重度になると、たとえ医療機関に搬送されてもできる処置が限られてきます。
このレベルでは、意識の消失や呼吸・心臓の停止に至っています。
そのため、呼吸の停止には人工呼吸、停止した心臓には蘇生のための心臓マッサージを行うのです。
ただしここまで重症化すると、たとえ病院で治療を受けたとしても、生存率はかなり下がってしまいます。
凍死するとき眠くなるっていうけど冬にやたら眠くなるのとは違うらしい:まとめ
ということで、まとめますと、- 凍死する時に眠くなるのは本当
- 凍死する時は、眠るのではなく昏睡状態になっている
- 凍死しそうな仲間に「眠るな、眠ったら死ぬぞー」と言って起こしても、生存は難しそう
- 凍死しそうな時の眠気は我慢できない
- 日本でも毎年、身近なところで凍死者がでている
- 冬場にやたら眠いのは、冬季うつや日照時間不足などが原因の、「凍死」とは別のケースが多い
- 低体温症の治療は中程度以上なら救急車を呼ぼう
- 意識を消失するなど、高度な低体温症は、病院で処置しても結構厳しいらしい
では。
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