日本のいわゆる就活(就職活動)のやり方には問題があります。
これはずっと以前から言われていることです。
企業側の「新卒」至上主義や、透明性の低い採用基準に学生が振り回されているのが実情ではないでしょうか。
そうはいっても、学生はどこかに就職しないといけませんし、それなりに希望する仕事や業界があるのです。
多くの学生が「こんな就活ばかばかしい」「就活なんかやってられるか!」と感じながらも、内定をもらわないと困るのでせっせと活動しているのです。
実際、私も「ばかばかしい」就活を経て、サラリーマンをやっていますが日本の就活スタイルはまさに「ばかばかしい」と思いますし、就活生がそう感じるのは当然です。
では、この「ばかばかしい」就活に採用側はどう感じているのでしょうか。
私は技術職の人間として、ここ数年、毎年就活で「採用側」として参加しています。
その私も採用側として「就職がばかばかしい」と感じます(人事部がどう感じているかわかりませんが)。
本記事では、就活がばかばかしいという点、そして就活がばかばかしい理由について「採用側」から見た側面について記載しています。
就活がばかばかしいという話
さて、私の学生時代を思い出すと、そのときから就活はばかばかしかったです。
就活のどこがばかばかしかったのか?
実際に社会人経験を積めば積むほど、当時の就活のばかばかしさが見えてくるもんです。
就活でばかばかしい日本の「履歴書」や「エントリーシート」
多くの学生は就活サイトを通して興味のある企業に対してエントリーします。
その後エントリーシートや履歴書を企業に提出して書類選考にかけられるわけです。
ここには学歴や持っているスキルや語学に加えて、志望動機、自己の性格や得意なことを含めた自己PRを書いていきます。
日本の企業の特徴というか悪習慣なのですが、本来重きを置くべきスキルや語学よりも、志望動機や自己PRに非常の大きな重点をおいている企業も少なくありません。
これは海外の企業ではちょっと考えられないです。
海外の就活では学生時代に何を勉強して、どういう専門性や知識があるのか?にもっと重点を置くし、当然それが仕事でのパフォーマンスに影響するからです。
事実、日本の履歴書やエントリーシートと比べて、海外企業で提出する履歴書(CV = Curriculum Vitae)には「専門性は何なのか」「持っているスキルは何なのか」といったことを記載する部分が広く取られています。
「学生時代に(勉強以外で)頑張ったこと」や「自己PR」については記載する欄すらないこともあります。
ちょっと変わった(ことをアピールしたい)企業でよくある「あなたを動物で例えると?」とか「あなたの特徴を端的に示したモノの写真を提出してください」なんてふざけた項目はありません。
ばかばかしい、日本の就活で重要な「志望動機」
前述のように、日本の就職活動では、実務で活用できる能力やスキル以外に、学生のキャラクターが重視されます。
例え実務能力が低くても、いわゆる「キャラ採用」という枠がある…という噂がある企業もありますよね(キャラだけで入社されると、現場は困るのですが)。
日本人は横並び、みんな平均・中流を好む傾向があるため、単にスキルや知識が非常に高い、いわゆる「エリート」を優先して、すんなり採用することを良しとしないのかもしれません。
その時に重視されるのが「志望動機」ですよね。
でもこれが難しい。
素直に普通のことを書いても「面白い」と思ってもらえないし、「ウケ」をねらって大げさに書いても印象よくありません。
でももともと、そんなに「面白い」志望動機ばかりじゃないですよね。
実際に学生が最も気にしているのは待遇や勤務地、仕事内容くらいですし、それらが重要なのはあたりまえです。
御社の理念に共感した、とか、企業トップの哲学に感動した、なんてのが本当の理由なはずがありません。
「サークル活動で培った○○の経験を最大限に役立てると感じました」なんて本気で思っているわけないし、社会人経験がほとんどない学生にそんなことわかるはずがありません。
こんなばかばかしい要求にこたえるために、学生は「ちょうどいい感じ」の用意された志望動機とともに就活に臨むことになります。
日本の就活がばかばかしいのはいつからか
こんなばかばかしい就活が一般化した一因は、多くの企業がインターネットによる大量募集による採用活動を始めたからです。
一部の有名企業は人気の業界には「とりあえずエントリーしとけ」という考えで、就活生が大量に集まります。
その結果、エントリーシートや履歴書でふるいにかける必要がでてきたのです。
これはここ20年くらいでしょうか。
採用側は初めは面白がって「キャラ採用」や「"正解"の志望動機」を書いてくる学生を偉そうに選考していました。
就活がばかばかしいのは採用側も同じ
しかし近年では「採用側」もこの”インターネットによる大量募集”を経て入社した社員が増えてきています。
これらの採用担当者は、はっきり言って、この形式の採用にはうんざりしているし、単に「正解」の内容を書いている履歴書は見ぬけてしますのです。
一方で、「不正解」の内容を書いている履歴書は、それはそれで「正解の履歴書もかけない就活生」と見えてしまいます。
はっきり言って、選考自体がばかばかしいと感じてしまいます。
私もその一人です。
はっきりって、こんなばかばかしい就活で、真面目に選考するのがばかばかしい。
ばかばかしい就活スタイルがベストではないがワーストでもない現状
こんなばかばかしい就活ですが、採用側からいわせると決して最悪ではありません。
まー、ばかばかしいですけどね。
当然ベストではないですよ。
でも、この形式の就活がはじまってから20年以上たっているんです。
賢い学生は、よく研究して、ちゃんと「正解」の自己PRや、志望動機、面接対策をしてきます。
また、当然TOEICのような英語のスキルもひっさげてきます。
TOEICスコアが低いから就活で書かないって言ってるやつまじ終わってる説
逆に言うと、これらの「攻略法」すらできてない学生は、とりあえず不採用でOKです。
採用側としては楽といえば楽ですよね。
変に自分のポリシーをもって「就活対策」をしていなかったり、最低限必要なスキルを用意していないような学生は、たぶん仕事もできないですから。
ばかばかしい仕事ならばかばかしい就活で十分
会社ってもともと、そんなに素晴らしい学生ばかりを揃えないとできない仕事はごくわずかです。
そこそこの能力、そこそこの協調性、そこそこのやる気がある学生がいれば大丈夫なんです。
特に大企業では「大外れ」を引かなければ何とでもなりますからね。
超優秀な新入社員が大量に入ってきても、ふさわしい仕事を与えられないし、指導できる先輩社員もそんなにいないから困ります。
仕事の大半は「ばかばかしい」ですよ。
だから、ばかばかしい就活で十分なんです、実はね。
では。
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