学生に人気の学部として定着していた「薬学部」ですが、近年雲行きが怪しくなってきています。
もしかしたら、近い将来「薬学部は不人気」になってしまうかもしれません。
すでにその兆候は出ています。
いくつかの地方の私立大学の薬学部では定員割れや学生の質の低下が起こっているというのです。
本記事では、近年見られる薬学部不人気かの兆候について、そしてその理由について記載しています。
薬学部不人気の原因=6年制になってから女子の人気が下落
そもそも薬学部がかつて人気があった、優秀な学生をある程度集めることができていたという理由の一つが、優秀な女子学生からの人気です。
かつて薬学部は4年制の学部で、女子学生が多かったのです。
いまでも理系学部にしては女子の比率が高いですよね。
なぜかというと、優秀で頭もいいけれど、医学部に行くと6年間学生生活を送ることになってしまう。
そのため卒業時の年齢を気にして4年制である薬学部に進学することにした「優秀な女子学生」の受け皿になっていたのです。
しかしご存知の通り、薬学部は6年制となり医学部と同じ期間大学に通うことが必要になりました。
その結果、4年で卒業できるというメリットがなくなってしまい、一部の優秀な女子学生たちは看護学部やあるいは6年生を受け入れて医学部に進学して行きました。
6年制になったときから薬学部は不人気学部への道を突き進み始めていたのかもしれません。
製薬企業研究職の採用では不利になる薬学部卒
また、6年制になったことで、薬学部のカリキュラムが変わりました。
この変化は、薬学部の卒業後の進路就職先の一つである製薬企業の採用に影響を与えたのです。
薬学部6年制の新カリキュラムでは、かつての学部4年+大学院修士2年のカリキュラムに比べて基礎的な研究を行う期間が大幅に短くなりました。
一方で、薬剤師として臨床に必要な知識を得る機会は増えたのです。
薬学部教育=薬剤師教育となってしまったのですね。
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これは製薬企業の研究職採用担当からするとなんら魅力はありません。
魅力半減です。
なぜなら、同じ年齢であればより長い期間、基礎研究に従事している工学部や農学部の大学院修士卒の学生の方がはるかに研究職としては魅力的だからです。
実際一部の大手製薬企業では薬学部6年制卒は研究職として採用しない方針を示しています。
薬学部の学費は上がる、そして不人気になる
上記のように、6年制になって薬学部が徐々に不人気になっています。
それにも関わらず 学費は上昇傾向にあります。
これは国公立大学、私立大学同様です。
不人気なのに学費が上がるなんて、おかしな話ですよね。
それでなくても4年制から6年制になったことで、単純計算で1.5倍の学費がかか るというのに…
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薬剤師の給料は今後下がっていく、不人気になるに決まっている
それでも今までは薬剤師=高収入というイメージがありました。
しかし今後薬剤師の給料は右肩下がりに下がっていくことが予想されます。
その要因の一つとして考えられるのは、国家による医療費の削減です方針です。
高齢化社会に伴い、薬剤師に限らず医療関係の職種は今後年収が下がっていくことが予想されています。
薬剤師も、医師も、看護師も。
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一方で患者は増えて激務になって行きますよね。
これでは薬剤師、つまりは薬学部が不人気になってしまいますよね。
あたりまえ。
ドラッグストア台頭で薬剤師の労働環境も悪化して不人気に
最近、町の小さな調剤薬局が潰れてドラッグストアも増えてきています。
ドラッグストアの店頭の隅で処方箋を受け付けて医療用医薬品を調剤している店舗も多くなってきました。
これは何を意味しているのか?
かつて多くの薬剤師は収益率の良い、医療用医薬品の調剤のみを行えばよかったのです。
ところが、今後はドラッグストアで調剤業務に加えて、店頭での日用品や一般用医薬品の販売に駆り出されるということになります。
はっきり言ってドラッグストアで日用品を売るなんて行為は利益も小さいし仕事量も半端なく多いです。
雑用も増えますしやりがいもないでしょう。
売り上げはあがりますが、おいしい思いをするのは経営者だけ。
ドラッグストアがどんどん台頭してくることは薬剤師にとっては労働環境の悪化を意味しているんですよね。
薬剤師は供給過剰が近づいている…のか?
薬剤師はもうすぐ供給過剰飽和すると報じられています。
現在年間1万人ほどの薬剤師が毎年誕生していますが、かつては 薬剤師が不足していると言われていました。
いまでは、ある程度需要が満たされつつあるというのです。
あくまで現在の薬剤師の役割が変わらない場合ですが、このままのペースで薬剤師が供給され続ければどこかのタイミングで飽和してしまうと試算されています。
薬学部不人気で難易度は下がるのか、上がるのか
さて、薬学部が不人気になると大学受験の難易度は下がるのではないかという良い面も見えてきます。
どうしても薬剤師になりたいという人にとっては、うれしいことかもしれません。
しかし実はそうでもないんですよね。
というのも薬学部が不人気になれば当然、レベルが低いあるいは地方の人気のない私立大学の薬学部は、消滅していきます。
今後、学生集めが大変になるでしょうから。
そうなれば、全体の定員は縮小しますし、残るのは比較的難易度の高い有名私立や、国公立の薬学部です。
難易度が低い私立の薬学部が減るので、むしろ大学受験の難易度は上がるのではないかと予想されます。
おかしな話ですが。
薬学部不人気化防止の切り札は「薬剤師の処方権」か
わりと悲観的なことをここまで書いています。
しかし、これはあくまで今の薬剤師の業務範囲が今後も変わらなかった場合です。
というのも、かなり昔から薬剤師に一部の処方権を与えてはどうかという議論があるのです。
これはアメリカなどのように、一部の医薬品については薬剤師 患者の症状に対して 処方箋を発行し医薬品を処方できるようにする、というものです。
当然医師会は反対していますが、医療費の削減や医師不足解消につながるアイデアです。
今後、社会の高齢化に伴い医療費を削減するためには、ある程度医師の権限を他の医療従事者に与えて、病院で本格的な治療を受ける患者数を減らす、という試みが必要になってきます。
もしも今後、薬剤師に処方権の一部が付与される、ということになれば薬剤師の待遇や賃金も向上します。
薬学部の人気も V 字回復するでしょう。
今後、薬剤師会と政府の動きに注目です!
では。
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