春に大学を卒業して、職場にやってくる新人薬剤師は、初めの数か月間、右も左もわからない状態です。
大抵は先輩薬剤師が一人ついて、仕事を教えることになります。
どの業界でも新人を育てるのは大変です。
「自分で勉強して覚えろ!」といって放置気味で新人を育てていく業界も時々ありますが、医療の現場ではそうはいきません。
一つのミスが患者の健康被害につながってしまうことがあるからです。
新人薬剤師が、使えない、覚えが悪い、態度が悪い、やる気がない、なんてことになると先輩薬剤師は大変ですよね。
本記事では、「新人の薬剤師使えない」と、困っているあるいは怒っている先輩薬剤師が考えるポイントを整理しています。
「新人薬剤師使えない」現象の背景
薬剤師は、毎年春先に実施される薬剤師国家試験に合格すれば「薬剤師」としてすぐに調剤薬局や病院の薬剤部で勤務することができます。
これは、医師国家試験に合格しても、多くの医師が「研修医」としての修業期間を経るのと大きく異なる点です。
薬剤師には正規の「研修」システムがなく、現場で正規の薬剤師として勤務するなかで教育していくことになります。
薬学部が6年制になってから、在学中に半年程度の実務実習がおこなわれているものの、まだまだ、「新卒の薬剤師=使えない」のが普通です。
一方で、薬剤師であれば、新卒後すぐに正規の薬剤師として雇用されるため、先輩薬剤師とそう変わらない給与がもらえてしまいます。
そのため、新人といえど、一人前の戦力としてそれなりに期待をせざるを得ないのです。
給料分くらいしっかり働けよ、という心理もあって「新しく入った薬剤師の新人、使えないわー」なんて愚痴も言いたくなるものです。
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新人薬剤師が使えない時の対処法
新人がいきなり一人前に仕事ができるなんてことはありませんよね。
これはどんな仕事でも同じです。
少しずつ新しいことを教えていくことになるのですが、中にはちゃんと一人前になれるのか不安になるタイプの新人薬剤師もいます。
教えても教えてもなかなか覚えてくれれない新人薬剤師
簡単な作業や、薬剤のピッキングをしているだけなのに、なかなか手順を覚えない。何度も何度も先輩に同じことを確認する、それどころか、確認せずに勝手にやって間違える。
先輩薬剤師は、初めは優しく対応しますが、何度も続くとさすがにイライラしてきます。
「この新人薬剤師使えないな…チッ」みたいな。
記憶力に不安があるタイプはどうしてもいるものです。
記憶はしているものの何度も確認したい不安で、自信のないタイプかもしれません。
このタイプの新人薬剤師には、月並みですが、覚えられない場合はメモを取るように促しましょう。
なんなら、メモを書いて渡してあげてもいいくらいです(メモが間違ってたら最悪でしょう)。
先輩薬剤師がイラついていると、なかなか聞きづらくなってしまいます。
気持ちはわかりますが、勝手に作業して間違えると大変ですので、先輩薬剤師としてもぐっとこらえて対応しましょう(患者さんのためにも)。
薬剤師の仕事をやる気がない新人薬剤師
意外と多いのが「薬剤師の仕事をやる気がない新人」タイプです。薬剤師の業務って、単調な作業も結構ありますし、狭い空間でほぼ一日中仕事をすることになります。
そんな仕事に魅力を感じられないのかもしれません。
単に給与がいい、安定しているという理由で薬剤師を選んだ新人だとそれほどやる気はないでしょう。
また、実は製薬企業や大学で研究者になりたかった、実は医学部に進学して医師になりたかった、なんていう(もうどうしようもない)不満を抱えているのかもしれません。
このタイプは、能力自体は低くないのですが、仕事をすると、はっきり言って腹がたちます。
社会人なめんじゃねえよ、薬剤師なめんじゃねえよ、こいつ大丈夫かよって言いたくなります。
気持ちはわかりますが、これはまー、仕方がないことでもあります。
新人薬剤師は、薬剤師の社会的な役割や患者さんにどうやって貢献することができるか、といった「薬剤師」としての意識が(当然ですが)ありません。
薬剤師業務の「何に」自分のモチベーションをもっていればいいかわからないのです。
新人薬剤師の時代は全然やる気がなかったけど、数年で意識が変わるということもありますので、根気よく育ててやってほしいものです。
先輩薬剤師として指導するときには、無理にやる気を求めず、本人のペースで薬剤師の仕事に興味をもってもらうといいでしょう。
また、段階的に、新しい業務を経験させて「できること」を徐々に増やしていくと、モチベーションも上がってくるタイプです。
コミュニケーション能力が低い新人薬剤師
薬学部には割と変わった人が多いです。医療系の資格保有の中でもコミュニケーション能力が低いひとが多い印象です。
看護師や医師といった患者と直接触れ合う自信がないので、薬剤師になったという人もいるくらいです。
薬剤師といえど、患者への服薬指導や窓口での短い日常会話くらいは対応できないといけません。
コミュニケーション能力は必要なのです。
でも、「コミュニケーション能力を上げなさい」と新人薬剤師に言ったところで決して上がることはありません。
それどころか、コミュニケーション能力がないことを自覚しているため、かえって自信をなくしてしまいます。
本人は新しい職場、同僚になれるのに精いっぱいで、余裕がありません。
通常の薬局内の業務を経験させて、少し慣れと自信をつけてから患者の前に出すようにします。
患者とのコミュニケーションについては後回し、もっと経験をつんでからでいいと割り切りましょう。
生活が乱れている新人薬剤師
学生気分が抜けないのか、生活リズムや基本的な身だしなみがなっていない新人薬剤師がいます。具体的には、こんな感じ↓
- 遅刻が多い
- 服装や髪型が乱れている
- 仕事中に寝る
- 忘れものが多い
このタイプの新人薬剤師は初めは笑い話になりますが、もうどうしようもありません。
いちいち指導していると馬鹿馬鹿しくなってきます。
先輩薬剤師はお母さん、お父さんではありませんから。
前述の他のタイプと違って、長い目でみても成長しないです。
新人薬剤師として、ではなく人間としてなっていませんから。
よく国家試験受かったなお前、といってあげてください。
自分の新人薬剤師時代と比較しよう
新人薬剤師に「一人前の薬剤師」としての働きや成長を期待してしまうと、理想とのギャップから「使えない」と感じてしまいます。
自分や、ほかの後輩の新人薬剤師時代、2年目、3年目と比較して、あまり大きく期待をしないようにしましょう。
指導役の先輩薬剤師の理想が高すぎたり、指導を焦ってしまうと、新人薬剤師はいつまでたっても「使えない」ままです。
実務実習は職業訓練じゃない
6年制薬学部では、実務実習を経た学生が薬剤師になっています。
「実務実習で何してたの?」と言いたくなるくらい使えない新人薬剤師もいるでしょうが、実務実習はいわゆる職業訓練じゃありません。
実習を受けた薬局、病院によってはまともに指導をしてくれていないところもあります。
その場合、必ずしも新人薬剤師本人のせいではないですよね。
同情の余地があることを意識して、指導するしかありません。
薬剤師の本来の役割をできることが大事
新人薬剤師はまだまだ、学生気分が抜けません。
国家試験に合格して、辛い勉強から解放されて一時的に気が抜けていることはよくあります。
立派に「薬剤師の本来の役割ができる」ことが何よりも大切です。
態度がわるかったり、やる気が見られないこともあると思いますが、患者にとって悪い影響がない場合には寛大になってください。
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