薬剤師の説明がうざいと思われているぞ、薬剤師はもっと頑張れよ


病院で医師の診断をうけて処方箋をもらい、近くの調剤薬局行くと必ず、薬剤師からいくつか質問や薬に関する説明を受けます。

処方された薬に関する内容(服用方法、注意すべき飲み合わせ・食べ合わせの有無など)ならまだわかりますが、

どういう症状だったのか。

まだ治りそうにないのか。

先生の見解はどうなのか。



なんてことを聞かれます。

しかも病院と違って、超オープンなスペースで。

あれって、正直かなり、うざいですよね。

さっき病院で先生に説明しましたけど!

なんでもう一度あんた(薬剤師)に説明しないといけないの?

さっさと薬をよこかんかい!

って思ってしまいます。

体調が辛いときや、急いでいるときなんかはなおさらです。

いったい何のためにやってるんでしょう。

誰が喜んでいるんでしょう。

このままでは、「薬剤師の説明うざい」、「薬剤師不要」、「薬剤師AIに置き換え可能」なんて議論がネット上にあふれてしまいます。

本記事では、薬剤師のうざい説明や質問の問題点、本来の目的、患者にとってのメリットについて整理しています。

薬剤師もっと頑張れよ。

患者ももっと薬剤師を利用しなよ。



薬剤師の説明はうざい、確かにそう


体調が悪くなって、病院に行きます。

長々と待合で待たされて、ようやく医師の診察を受けますが、さらに会計で待たされます。

病院をでて、歩いて近くの調剤薬局に処方箋を持っていき、さらに待合で待たされます。

やっと、自分の薬が出てきた、さあ、お会計かと思ったらそうではありません。

薬剤師が出しゃばってきます。

「今日はどうされましたか?」
「前と症状かわりないですか?」
「ちょっとお薬かわりましたけど何かあったんですか?」

…さっき、先生(医師)にさんざん説明しましたけど!

いいからその、手に持ってる薬さっさとよこせよ!

こっちは体調悪いんだ、1秒でも早く家に帰りてーんだよっ!

うざいんだよ!

わかります。

薬剤師免許もってる私でも、ときどきイラっとすることがあります。

調剤薬局でのやりとりの大半は「これ意味あんの?」って言いたくなることや、とても形式的で中身のない会話に感じます。

症状聞いたところで、薬剤師に処方権なんかないでしょ?って思ってしまいます。

後述しますが、あの説明、会話は必要性があってやってるんです。

でも、国民の大半は「ただのうざいやりとり」としか思っていません。


調剤薬局のプライバシーは問題


もう一つ薬剤師の説明が嫌われている理由は、調剤薬局でのプライバシーの問題です。
患者にとって病気のことは、とてもデリケートな問題です。

ただの風邪ならまだしも、精神疾患や産婦人科系の病気、不妊治療にともなうものだとその症状や、使用している医薬品に関してあまり周りに知られたくないものです。

医療関係者といえど、できるだけ少数の人にしか話たくありませんし、調剤薬局のようなオープンなスペースでほかの患者に聞かれるなんて、とても不快です。

あんな状況で、長々と説明や質問をうければイライラするし、目の前の薬剤師がうざいと感じるのたごくごく当たり前の感覚です。

立地や建物の構造上の課題もありますが、調剤薬局側が解決すべき点です。

薬剤師との会話は誰のため?



うざい薬剤師の説明はごく一部の患者のため


さて、さて。

うざい、うざいと批判されている薬剤師の説明、やりとりですが、本当はちゃんとした目的があります。

ただし、残念ながら、すべての患者にとって必要ということではありません。

むしろほとんどの患者には必要のない行為です。

ただ、ひたすらうざいだけ。

でも、数百人に一人にとっては必要ことなのです。

そして、「誰に」必要かがわからないため、全員に行われます。

なぜなら、医療行為という健康保険(=税金)によって支えられた行為によって間違いや誤解、患者の健康被害があることは許されないからです。

うざい薬剤師の説明、会話の目的は3つあります。

  1. 正しい医薬品が処方されること
  2. 処方された医薬品が正しく使用されること
  3. 透明の高い医療の提供

正しい医薬品が処方されていること

ごくごく稀にニュースになりますが、誤った医薬品が医師によって処方されていることがあります。

薬剤師は病気の診断はできませんが、患者との会話、説明の中で「この症状にこの薬が処方されている」ことに違和感がないことを確認しています。

大抵の病院ではPC上で処方箋管理ソフトを使っています。

医師はプルダウンリストから医薬品を選んで処方箋を発行しています。

そのため、リストが一行ずれて誤った医薬品が処方されていることもあるのです。

この症状にこの医薬品はおかしいだろ?と薬剤師が感じたら、医師に確認することになります。

患者にしてみれば、「いつもと同じ薬だよ!」と感じるでしょうが、これは何千、何万回に一度おきるかもしれない医師の処方ミスによる、最悪の事態(患者の健康被害)を未然に防ぐために必要な確認、説明なのです。



医薬品が正しく使用されること

薬剤師の説明は、処方された医薬品が正しく服用、使用されるようにすることも目的としています。

最近では、ほとんどの医薬品は、シートに入った錠剤やカプセルを、指示どおりのタイミングで飲むだけです。

食べ物やほかの医薬品との組み合わせに注意するものが多少あるだけ。

大抵の健康な若い人であれば、特に難しいことでもありませんので「この程度のこと長々と説明すんなよ」って思うことでしょうね。

説明が長かったり、何回も聞いたことを繰り返されるとそりゃー、うざいです。

でも、稀に使用方法に注意を払わなければならない医薬品があるんです。

また、私の経験上、自分の薬はどうでもいいし、わからなかったらググればいいのです。

でも、親になって子供の薬を処方されたときは、うざい薬剤師の説明もしっかり聞くようになりました。

子供は体が小さいので誤った量たタイミングで服用していまうと、影響をもろに受けてしまうからです。

また小児用の医薬品だと、服用方法や取り扱いが少しややこしいこともあります。

冷蔵保存の液剤も多いので気を使います。

室温で数時間持ち運んでいいのか、飲みかけで嫌がった分をどう保存していいか、こちらから薬剤師に質問したいこともでてきます。

心配性な親だと、薬剤師が「うざい患者だ」と思うくらい質問しているひともいるのではないでしょうか。




透明の高い医療の提供


最近は減ってきましたが、「医師が怖い」「医師に質問できない」という患者がいます。

そのため、医師にきちんと症状を伝えられない人や、自身の病気を正しく理解できていない患者がいます。

私の親類も、田舎の、学の無い人たちですので病気になって、医師に説明を聞いてもちんぷんかんだそうです。

家族が癌にかかって、入院しているのに何の病気か正しく理解していませんでした。

ちゃんと医師の説明を聞いて、わからないことを質問するよう忠告したのに、「何を質問していいのかもわからない、説明してもらってもわからない」と言っていました。

とっても頭がよくて、忙しくて、社会的地位もある医師だから、意見したり質問することができない(恥ずかしい、躊躇する)んです。

でも今の時代、患者が正しく病気や受ける医療を理解することはとても大切です。

現代の医療は、医師をはじめとした医療従事者から一方的に患者に提供されるものではありません。

医療機関は透明性の高い医療を提供し、情報の基づいて、患者が自ら医療を選択、決断する時代です。

もし、医師に近づきがたいという患者がいた場合、医師よりも身近で、親しみやすい存在があれば、患者は多少は質問したり、説明を求めたりしやすいはずです。

現代では、薬剤師にはこういう「患者と医療との関係・コミュニケーションを補う役割」が期待されています(看護師もでしょうか)。

だから薬剤師はもっと頑張れといいたい。

「薬剤師の説明がうざい」なんて言われることが減ってくると良いですね。

では。


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