薬学部を卒業すると、皆薬剤師になると思われがちですが、実は様々な職種で活躍することができます。
公務員の薬剤師職や自衛官、行政機関に加え、製薬企業のMRや研究開発職です。
最近では製薬企業の研究開発職が狭き門となっており、大手企業となるとごくごく一部の優秀で幸運な学生のみが内定を手にすることができます。
一方で、製薬企業各社は、一部の業務をCRO(医薬品開発業務受託機関)に委託して、業務の効率化、コストカットを行うケースが増えており、多くのCROでは人手不足となっています。
そのため、同じ研究開発職でも、製薬企業本体ではなく、CRO(医薬品開発業務受託機関)に就職するほうが学生が増えています。
こちらのほうが内定が出やすく、本当は製薬企業に行きたかったけど、CROに就職して。
実験室での研究業務や臨床開発業務にたずさわるということです。
一般的には、大手企業で内定が出ず、ランクをおとしてCROが就職先となる印象が持たれていますが、果たして薬学部出身者で就職先がCROとなった場合「負け組」なのでしょうか。
本記事で考察してみます。
公務員の薬剤師職や自衛官、行政機関に加え、製薬企業のMRや研究開発職です。
最近では製薬企業の研究開発職が狭き門となっており、大手企業となるとごくごく一部の優秀で幸運な学生のみが内定を手にすることができます。
一方で、製薬企業各社は、一部の業務をCRO(医薬品開発業務受託機関)に委託して、業務の効率化、コストカットを行うケースが増えており、多くのCROでは人手不足となっています。
そのため、同じ研究開発職でも、製薬企業本体ではなく、CRO(医薬品開発業務受託機関)に就職するほうが学生が増えています。
こちらのほうが内定が出やすく、本当は製薬企業に行きたかったけど、CROに就職して。
実験室での研究業務や臨床開発業務にたずさわるということです。
一般的には、大手企業で内定が出ず、ランクをおとしてCROが就職先となる印象が持たれていますが、果たして薬学部出身者で就職先がCROとなった場合「負け組」なのでしょうか。
本記事で考察してみます。
CROは製薬企業の依頼によって研究開発を行っている
製薬企業は高利益率の安定した業界というのは、もう昔の話です。
今では、新薬を思い通りに生み出すことができず、多くの大手企業は人員削減のためのリストラや研究所の閉鎖といった様々なコスト削減策を実行しています。
研究所の閉鎖や人員削減をした結果、製薬各社は一部の研究開発業務をCRO(医薬品開発業務受託機関)に外注することとしました。
CROとはContract Reserach OrganizationまたはClinical Research Organizasionといい、ラボでの実験や、治験におけるモニタリングやプランニング、レポートなどを請け負う外部業者のことです。
委託には膨大な額が必要となりますが、自前で正社員を多く雇用して給与や福利厚生費を負担するよりも、安価で済むため、ほとんどの大手製薬企業はCROなしでビジネスを進めることはできません。
ここ数年で、CRO各社はその規模と人員を増大させています。
製薬企業が人員削減のために、新規採用枠を減らした分、CROが多くの薬学系、理系学生の雇用の受け皿となっています。
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薬学部の就職先がCROだと負け組なのか
薬剤師や公務員以外の職種を志望している薬学部学生のほとんどは、製薬企業、製薬業界で仕事をすることを望んでいます。
給与や労働条件といった待遇面から、第一希望はやはり大手の有名製薬企業です。
しかし、前述のように、製薬企業各社は現在人員削減を行っており、内定を得ることができるのは一部の優秀な学生のみです。
薬学部の場合は、製薬企業で内定が出なかった場合、研究開発の夢をあきらめ、薬剤師や公務員となるか、CROでの研究開発職での内定を目指すこととなります。
多くの場合、CROの採用活動は、大手製薬企業の採用活動がひと段落ついてから少し時間差をもって行われるので、敗者復活戦の様相を示します。
そのため、薬学部でCROが就職先となると、敗者復活戦の結果ようやく内定を得た「負け組」という印象をもたれてしまう(多くは、自分で持ってしまう)ことがあります。
CROが就職先でも十分すごいから自信をもって
結論を言うと、薬学部出身でCROが就職先となっても決して「負け組」ではありません。
というのも、たとえCROであっても、研究開発職にありつけることは、それだけでかなり狭き門を通れたことになるからです。
いまどき、東大薬学部や京大薬学部でも、大手製薬企業の研究開発職の内定を得ることはむずかしく、彼らもCROに職を探しています。
薬剤師になれば就職活動は簡単なのに、あえて粘ってCROに内定をもらえた学生の熱意は素晴らしいと思いますし、自信をもってほしいものです。
薬学部就職先:製薬企業とCROの比較
とはいっても、実際働くとなると、年収や労働時間などの待遇が気になります。
ちょっと整理してみます。
年収: CRO vs 製薬企業
給料、年収はとても大事ですよね。若い時ならさほど気にならないかもしれませんが、将来結婚して、子供ができたりするとやっぱりお金は必要です。
CRO大手の「シミックホールディングス」について、年収をしらべてみました。
シミックホールディングスは連結従業員が5000人ほどの大手CROです。
Yahooファイナンスの情報によると平均年収は836万円、平均年齢43.7歳となっています(2019年3月時点)。
どの会社も50~55歳くらいで平均年収が最大となると思いますので、おそらく生涯の年収ピークは900万円くらいが平均といったところでしょう。
ちなみに私の知り合いは28歳くらいで、残業代込みで年収が450万円弱だったようです。
一方、国内製薬大手の「武田薬品工業」を見てみます。
Yahooファイナンスの情報によると平均年収は1039万円、平均年齢40.8歳になっています(2019年3月時点)。
おそらく生涯の年収ピークは1200~1300万円くらいが平均といったところでしょう。
部長などの管理職であれば2000万円もあり得ますね、さすがです。
武田薬品工業に友人がいますが、27歳くらいの時に500万円以上はもらっていたと思います。
生涯と通じて、年収面では製薬企業のほうがずっといいようです。
若いうちは大差ありませんが、年齢とともに広がっていきそうです。
とはいえ、一般企業や薬剤師の給与と比較すれば、CROも十分高給です。
決して「負け組」ではありません。
業務量: CRO vs 製薬企業
一般的にCROは製薬企業と比べて激務です。
私も業務でCROの方とやり取りすることがありますが、各社から受けた業務がいつもいっぱいに詰まっているようです。
CROの業務形態上、既存の人員で、できるだけたくさんの業務を請け負って、たくさん結果をだせば、それだけ売り上げがあがるため、どうしても現場は常にぎりぎりの業務量を抱えざるを得ません。
一方、製薬企業本体は、働いた内容が将来芽が出て新薬につながらないと、利益になりませんので、無駄な業務、意味のない業務はできるだけやらないようにしています。
そのため、繁忙期以外は、それほど過密な業務スケジュールになることはありません。
業務量の面でも、製薬企業のほうが恵まれているようです。
ただし、若いうちにたくさんの業務をバリバリこなして、経験を積みたいといってCROに就職する学生もいます。
将来性: CRO vs 製薬企業
製薬企業とCROの将来性の違いについて考えてみます。現在CRO業界は売り上げがどんどん伸びている、成長ビジネスです。
そのため、「将来性は高い」といいたいところですが…。
ちょっと違います。
前述のように、CROは製薬企業から仕事を受託するため、製薬企業と一連托生なのです。
製薬企業が倒れれば、CROも倒れてしまいます。
逆に製薬業界が成長していけば、CRO業界もウハウハでしょう。
いまのところ、薬価の削減など、医薬品業界に逆風が吹いてはいるものの、高齢化にともなう医療費の増大は進むことが確実ですので、当面大丈夫です。
仕事のやりがい: CRO vs 製薬企業
以前、CROで働いている友人に話を聞くと、バリバリと働けて充実感はあるとのことでした。しかし、やはり、自社の製品を開発しているわけではないので、その点のやりがいは物足りないそうです。
実際、製薬企業で働いている人がみな、自社製品の開発に強い愛着、やりがいをもっているわけでもないと思うのですが、ずっとCROで働くのは「仕事のやりがい」という点でイマ一つということですね。
そういう不満もあってか、数年CROで働いた後、薬剤師となって患者と接する立場に転職するひとがたくさんいるのも事実です。
CROが就職先となっても後からキャリアアップ可能
私の知り合いで、たくさんの薬学部→CRO就職者がいます。
現在もCROでバリバリ働いている人も一部いますが、多くは数年で薬剤師となっています。
年収面と忙しさがわりに合わないといった理由や、若いうちはバリバリ働いて気が済んだ、患者と接することにやりがいを見いだしたい、という意見が大半です。
一方で数人は、製薬メーカーの研究職や臨床開発職への転職に成功した人達もいます。
彼らは、CROで2~3年ほどバリバリと経験を積んで、転職しました。
新卒の就職活動で、製薬企業に行けなかった悔しさと夢を持ち続けていた人たちです。
これはこれで素晴らしと思います。
もともと、比較的、優秀な人たちが多かったと思います。
特徴的だったのが(私の知る限りは)英語のスキルをつけていました。
また、比較的若い時期に転職することが、成功のポイントです。
5~10年たってしまうと、ずっと製薬企業で研究開発職に携わってきた人との、(専門性や考え方についての)ギャップが広がってしまうのでしょう。
もし、就職先がCROとなってがっかりしていても、まだまだ若手のうちはチャンスがあるということですね。
就職先がCROとなっても決して「負け組」ではなく、まだまだ戦いは続いているということですね!
では。
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